Web制作、ノーコード任せでは危険!HTML・CSSの力

現在、Web制作の現場では「ノーコードツール」が急速に普及しています。WordPressのブロックエディターや、STUDIO、Wix、ペライチなどのツールを使えば、コードを書かずにサイトを作成できる時代です。「もうHTMLやCSSは不要では?」と感じる方も多いかもしれません。しかし、実務の現場では、ノーコードに頼りきることで逆に困るケースが少なくありません。本記事では、なぜ今でもHTML・CSSの基礎力が必要なのか、具体例とともにお伝えします。

WordPressの国内シェアとノーコードツールの関係

まず、WordPressがどれだけ重要な役割を果たしているかを見てみましょう。日本国内のWebサイトにおけるWordPressのシェアは約82.5%を占めており、これは世界全体の約62.8%を上回る数字です(出典:W3Techs)。日本国内のWeb制作において、WordPressは圧倒的なシェアを誇っており、その理解は非常に重要です。とはいえ、WordPressを使うだけで完全にWeb制作ができるわけではありません。特に、ノーコードツールに頼りすぎることの危険性も少なくないのです。

ノーコードが抱える「限界」とは?

ノーコードツールは便利で、短時間でサイトを形にするのに向いています。しかし、次のような落とし穴も存在します。

まず、細かいカスタマイズに対応できない点です。「ここだけ文字を小さくしたい」「スマホだけ余白を減らしたい」などの要望に対して、ビルダーでは設定項目が見つからず、結局コードを触らないと調整できないこともあります。また、表示崩れの原因が分からない場合もあります。ページが意図せず崩れたとき、「なぜそうなったのか?」が分からないと、何を直せばいいか検討すらつきません。HTMLとCSSの知識がないと、問題の切り分けが難しくなります。さらに、作り込んだ結果、逆に重くなることもあります。ビジュアルで簡単に操作できる分、裏側のコードが冗長になりやすく、表示速度の低下やSEOへの悪影響を招くこともあります。

実務で必要なのは「ノーコード+α」の視点

現場では「ノーコードツールで組むだけの人」ではなく、必要に応じてコードに触れられる人材が重宝されます。たとえば、ノーコードでベースを作り、HTML・CSSで調整したり、クライアントの希望に合わせてレイアウトを再構築したり、テンプレートの制約を超えたデザイン対応を行ったりといった柔軟な動きが求められるからです。

HTML・CSSを知っていると、何が変わる?

まず、カスタマイズ自由度が上がります。ノーコードの制限に縛られず、自分の思い通りのデザインや動きを再現できます。次に、トラブルに冷静に対処できるようになります。表示崩れやレイアウト不具合など、問題が起きたときに自分で原因を特定・修正できるようになります。さらに、案件の幅も広がります。コーポレートサイトだけでなく、LP制作、メールフォーム調整、既存サイト修正など、小回りのきく案件にも対応可能になります。

まとめ:ノーコードは道具、HTML・CSSは土台

ノーコードツールは、あくまで「制作を助けてくれる道具」にすぎません。道具をうまく使いこなすためには、その裏側で何が起きているのかを理解する力=HTML・CSSの基礎知識が不可欠です。「作る」ことは誰でもできますが、「直す」「対応する」「提案する」ことができるのは、基礎を理解している人だけです。WordPressのようなCMSは非常に強力で便利なツールですが、その使いこなしには、基礎の力が大きな武器になります。ノーコード全盛の今だからこそ、基本に立ち返ることが、実務で通用するWeb制作者への近道です。

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筆者プロフィール

丸谷 香織 Kaori Maruya
Web・グラフィックデザイナー/ディレクター/創人塾Webデザインコーチ・リーダー


神奈川県横浜市出身。総合広告代理店で新規開拓営業を学び、その後ディスプレイデザイン会社で新規開拓営業・企画・デザイン・製作・現場施工を経験。2005年6月、フリーランスデザイナーとしてディスプレイデザイン・製作・施工を主軸に営業開始。初年度売上げ8桁達成で2006年10月法人成り、株式会社 Coconeil 設立。企業・店舗や団体・省庁などのイベントのWebデザイン・実装、ロゴデザイン、紙媒体のデザインと印刷を主軸に活動中。さらに近年では、駆け出しだった当時の自分を助けてくれた人たちへの恩返しの意味合いもあり、デザイン添削やアドバイスをする傍ら、複数のオンラインデザインスクールでデザインコーチ、講師としても活動。2025年3月、各分野のエキスパートたちとオンラインデザインスクール創人塾を開校、Webデザインコーチ・リーダーに就任。