WordPressプラグインの賢い選び方と導入・管理のコツ

WordPressの魅力は、豊富な「プラグイン」を使って簡単に機能を拡張できる点にあります。しかし、その手軽さゆえに、どのプラグインを選べば良いのか迷ったり、導入後に思わぬトラブルに見舞われたりすることも少なくありません。

この記事では、WordPressサイトのパフォーマンスとセキュリティを維持しながら、本当に役立つプラグインを見極めるための「賢い選び方のポイント」と、導入後に気をつけるべき「安全な管理方法」に焦点を当てて、初心者の方にも分かりやすく解説します。具体的なおすすめプラグインについては、別の記事で詳しくご紹介しますので、そちらも合わせてご覧ください。

WordPressプラグインとは?その役割とメリット・デメリット

まず、WordPressプラグインがどのようなものか、基本的な役割とメリット・デメリットを理解しておきましょう。

役割

プラグインは、WordPress本体の機能を拡張するための追加プログラムです。例えば、「お問い合わせフォームを設置したい」「サイトのセキュリティを高めたい」「SEO対策を強化したい」といった様々な要望に対して、対応するプラグインをインストールし有効化することで、それらの機能を実現できます。スマートフォンにアプリを追加して機能を増やすようなイメージです。

メリット

  • 専門知識なしで機能追加: コーディングの知識がなくても、複雑な機能を簡単に導入できます。
  • サイトの利便性向上: ユーザーにとって使いやすい機能(例:関連記事表示、パンくずリストなど)を追加できます。
  • セキュリティ強化: 不正アクセス対策やスパム対策など、サイトの安全性を高めることができます。
  • SEO対策: 検索エンジンに評価されやすいサイト構造にするための機能を追加できます。
  • 作業効率化: 画像の自動圧縮やバックアップの自動化など、サイト運営の手間を軽減できます。

デメリット:

  • サイトの表示速度低下: プラグインを多用したり、質の低いプラグインを入れたりすると、サイトが重くなる原因になります。
  • プラグイン同士の競合: 複数のプラグインが干渉し合い、予期せぬ不具合を引き起こすことがあります。
  • テーマとの相性問題: 使用しているWordPressテーマとプラグインの相性が悪く、正しく動作しない場合があります。
  • セキュリティリスク: 長期間更新されていないプラグインや、脆弱性のあるプラグインは、サイトのセキュリティホールになる可能性があります。
  • プラグインの更新停止: 開発が終了し更新されなくなったプラグインは、将来的にWordPressの新バージョンに対応できなくなるなどの問題が生じることがあります。

これらのデメリットを最小限に抑え、メリットを最大限に活かすためには、プラグインの慎重な選定と適切な管理が不可欠です。

失敗しない!WordPressプラグインの選び方のポイント

数えきれないほど存在するプラグインの中から、あなたのサイトに本当に必要で、かつ安全なものを見つけ出すための重要なポイントをご紹介します。

目的を明確にする: まず最も大切なのは、「自分のサイトにどんな機能を追加したいのか」「何を解決したいのか」という目的をはっきりさせることです。目的が曖昧なままでは、適切なプラグインを選ぶことはできません。

最終更新日と対応WordPressバージョンを確認する: プラグインの配布ページ(WordPress公式ディレクトリなど)には、必ず最終更新日と対応するWordPressのバージョンが記載されています。長期間(例えば1年以上)更新されていないプラグインや、現在使用しているWordPressのバージョンに対応していないものは、セキュリティ上のリスクや動作不良の可能性があるため、選択肢から外すのが賢明です。

インストール数と評価(レビュー)を確認する: 多くのユーザーに利用されている(有効インストール数が多い)プラグインや、評価が高い(星の数が多い、肯定的なレビューが多い)プラグインは、一般的に信頼性が高いと考えられます。特に、類似機能を持つプラグインが複数ある場合は、これらの数値を比較検討の一つの材料にしましょう。ただし、評価はあくまで参考情報とし、具体的なレビュー内容にも目を通すことが大切です。

作者(開発元)の信頼性を確認する: プラグインの作者や開発元が信頼できるかどうかも見極めポイントです。公式ディレクトリで配布されているプラグインは一定の基準でチェックされていますが、開発者の他のプラグインの実績や、サポートフォーラムでの対応状況なども確認しておくと、より安心して利用できます。

類似プラグインと比較検討する: 一つの目的を達成するためのプラグインは、複数存在することがほとんどです。それぞれのプラグインが提供する機能の詳細、設定のしやすさ、ユーザーインターフェースのデザイン、更新頻度、サポート体制などを丁寧に比較し、自分のスキルレベルやサイトの具体的な目的に最も合致するものを選びましょう。

サポートフォーラムやドキュメントの充実度: プラグインを使用していて何らかの問題が発生した際に、解決策を見つけやすいかどうかは非常に重要です。公式のサポートフォーラムが活発に運営されていたり、詳細な使い方ガイド(ドキュメント)が用意されていたりするプラグインは、万が一のトラブル時にも心強い味方となります。

シンプルで軽量なものを選ぶ(多機能すぎないか): 高機能なプラグインは一見魅力的に思えますが、その分だけ設定が複雑になったり、サイトの動作を重くしたりする原因になることもあります。自分の目的に必要な機能がシンプルにまとまっている、できるだけ軽量なプラグインを選ぶように心がけましょう。

実際にテスト環境で試してみる: 気になるプラグインを見つけたら、いきなり運用中の本番サイトに導入するのは避けましょう。可能であれば、テスト環境(ローカルPC上の環境や、本番とは別のステージング環境など)を準備し、そこで事前にプラグインを試してみることを強くおすすめします。期待通りの動作をするか、他のプラグインや使用中のテーマと競合(衝突)しないかなどを確認できます。

必要最低限に留める: プラグインは非常に便利ですが、むやみやたらと追加するのは禁物です。導入するプラグインの数は、本当に必要なものだけに厳選し、できるだけ少なく保つことが、サイトの安定性とパフォーマンスを維持する上で非常に重要です。機能が重複するプラグインを複数入れたりしないように注意しましょう。

プラグイン導入後の安全な管理方法

適切なプラグインを選んだ後も、安全にサイトを運営するためには継続的な管理が欠かせません。

定期的なアップデートを必ず行う: WordPress本体と同様に、プラグインも機能改善やセキュリティ脆弱性の修正のために頻繁にアップデートされます。管理画面にアップデートの通知が来たら、変更内容を確認し、できるだけ速やかにアップデートを行いましょう。古いバージョンのまま放置すると、セキュリティリスクを高めることになります。

不要になったプラグインは必ず削除する: 一時的に使っていただけで、現在は不要になったプラグインは、単に「無効化」するだけでなく、必ずWordPressから「削除」しましょう。無効化しただけのプラグインでも、脆弱性が存在すれば攻撃の対象となり得ます。

アップデート前にはバックアップを取る: プラグインやWordPress本体の重要なアップデートを行う前には、必ずサイト全体のバックアップを取る習慣をつけましょう。万が一、アップデートによって予期せぬ不具合が発生した場合でも、バックアップがあれば元の状態に復元できるため安心です。

賢くプラグインを選び、安全にWordPressサイトを運営しよう!

WordPressプラグインは、あなたのWebサイトの可能性を大きく広げてくれる強力なツールです。しかし、その恩恵を最大限に受けるためには、今回ご紹介した「選び方のポイント」をしっかりと理解し、一つ一つのプラグインを慎重に吟味することが不可欠です。そして、導入後も適切な管理を続けることで、安全で快適なサイト運営が可能になります。

具体的なおすすめプラグインについては、別の記事「WordPressを強化!タイプ別・定番おすすめプラグイン集(2025年版)」で詳しくご紹介していますので、ぜひそちらも参考に、あなたのサイトに最適なプラグインを見つけてください。


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筆者プロフィール

丸谷 香織 Kaori Maruya
Web・グラフィックデザイナー/ディレクター/創人塾Webデザインコーチ・リーダー


神奈川県横浜市出身。総合広告代理店で新規開拓営業を学び、その後ディスプレイデザイン会社で新規開拓営業・企画・デザイン・製作・現場施工を経験。2005年6月、フリーランスデザイナーとしてディスプレイデザイン・製作・施工を主軸に営業開始。初年度売上げ8桁達成で2006年10月法人成り、株式会社 Coconeil 設立。企業・店舗や団体・省庁などのイベントのWebデザイン・実装、ロゴデザイン、紙媒体のデザインと印刷を主軸に活動中。さらに近年では、駆け出しだった当時の自分を助けてくれた人たちへの恩返しの意味合いもあり、デザイン添削やアドバイスをする傍ら、複数のオンラインデザインスクールでデザインコーチ、講師としても活動。2025年3月、各分野のエキスパートたちとオンラインデザインスクール創人塾を開校、Webデザインコーチ・リーダーに就任。